洋裁をやっているとよく勘違いされる「あるある」なんだけど、着物も縫える。と思われるんだよね。
一見同じように見えるけど、洋裁と和裁ってそもそもの成り立ちが全然違うから、洋服が縫えるからと言っても「和服が縫える」とは限らないの。
もちろん和裁も洋裁も両方を学んできた人であれば出来るでしょうけど。
洋裁と和裁では、そもそもの「成り立ち」が違う。というか基本的な考え方が違うの。
わたしは洋裁バタケの人間なので、着物を洋服にリメイクすることはできるよ。
着物も「布」から出来ているのは一緒なので、素材として素敵だなと思って、留袖を買ってきてワンピースにリメイクしたことがあるんだ。
その時、留袖をほどきながらものすごく感動したの。
何に?っていうと細かい手仕事と、その成り立ちに!!
成り立ちっていうのは、とにかく無駄がないの。
無駄というのは、ほとんどはさみが入ってない。布をとことん使っていて、ほどいてもそのまま一反に戻りそうな位 捨てている布がないってこと。
洋服に使う布と、着物に使う反物では、布の巾がそもそも違うけど、洋服は人の形に合わせて型紙を作って型紙を元に布を裁断していくんだよね。
型紙に合わせて布を切ると、使わないで捨ててしまう布がものすごく多いんだ。
洋服を作っていると余った布のハギレがいっぱい出来ちゃう。大きく余った布は他のことに使ったりも出来るけど、細かいものは処分してしまうことが多い。
ずっとそれが「当たり前」だと思っていたから、そして和裁に触れる機会がなかったから、リメイクしたときは本当にびっくりしたの。
1枚の着物が布の巾いっぱいを組合わせて作られていて、ここにハサミを入れてしまうのが本当にもったいない!って思って躊躇しちゃった。
作りたいワンピースの形が頭の中にあったから、結局ハサミを入れてワンピースにしちゃったけどね。
でね、ちょっとだけ興味を持って調べてみたんだ。それは・・・
着物は「布」ありき。
洋服は「人」ありき。だってこと。
どういうことかというとね。
昔反物ってものすごく高級品だったわけ。もちろん今でも高級品だけど。
だからその高級品である反物を大事に大事に使い続けていくことを目的として着物が成り立っているから、一反から出来る着物は必要最低限しかハサミが入らないらしいんだよね。
一枚の着物をほどいて何度も何度も仕立て直して使い続けていくことを前提としている。
布を大事にしていく。
洋裁とは真逆の考え方なんだ。
「布」ありき。
布を使い倒すの。
日本人の「モノ」を大切にする心が「着物」に象徴されているな。って思いました。
今はなんでも簡単に手に入るけど、物質的な豊かさの時代ではもうないよね。
物をたくさん持つことよりも精神的な豊かさが重視される時代に移ってきていると感じる。
断斜里だったり、ミニマムという言葉に象徴されるようにね。
だからこそ、いいモノを永く使い続けていく本来の日本人らしさをとりもどす時代なのかな??なんてちょっとだけ思ってみました。
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